極北のナヌーク

大学の図書館で、授業と授業の間にあるDVDを見ました。
『極北の怪異 ~極北のナヌーク~』という1922年公開のドキュメンタリー映画


1922年、なんと古い!
モノクロで、音声はなし、音楽は日本人があとからつけたしたもののようで、これまた古い電子音を使ったへろへろ(褒め言葉)の音楽。
ロバート・フラハティという人が、実際に15カ月もの間、イヌイットの家族に密着して撮ったフィルムらしいです。
全部で80分弱。
途中、字幕でシーンの説明が入る以外は、音楽にのせてモノクロのイヌイットたちの生活が流れているだけでした。


上記のへろへろの音楽と、イヌイットの男ナヌーク(=熊という意味のあだ名)がモリで魚をとったりナイフで氷塊を切ってイグルー(かまくら)を作ったりする様子が妙な癒し効果を生んでいました。
ぜひ、暗い部屋で大きい画面で見たいものです。
見る、というより小さい音量で流して本でも読みながら、ときどきチラっと見るって感じ。
真面目に画面を見つめていると、強い催眠効果があるのでそれくらいがちょうどいい。

小さなカヤックからナヌークの家族たち(子犬含む)が続々と降りてくるシーン。
子供たちが交易商のオゴリでもらったラードを舐めるシーン。
アザラシの牙のナイフを、舐めて凍らし鋭くするシーン。
ナヌークが大アザラシと格闘してついにしとめるシーン。
それを家族みんなで氷原の中いそいそ食べるシーン。

100年近い昔の凍える大地の暮らしをぼ~っと見つめていると、魂が世田谷区からひょ~っと抜けだすような、なんとも心地よい気分を味わえました。