アンドロイドは唐揚げ定食の夢を見るか

体重が増えてしまった。

ここ一年で5キロの増加。

「そのうちジョギングの習慣でも続ければ簡単に痩せる」と思っていたものの、

去年から乗っている原付バイクでの移動が習慣化してしまい、

冬になればそれすらも控えるほど出不精になってしまった。

ジョギングはおろか、休みの日に外を歩くのすら寒くて億劫だ。

 

If Winter comes, can Spring be far behind ?

~冬来りなば春遠からじ~

英詩人パーシィ・ビッシュシェリー「西風に寄せる歌」より

 

春は地平線のかなたに遠くて目に見えず、寒さがいや増すこの頃、

開き直ってこんな考えにおちいった。

いわく「いや、結局は生きて内臓が動き代謝をしていさえすれば、

それを上回る熱量の食事をしなければ勝手に体重は落ちるだろう」

 

ということで、なんとか努力せずに楽しく体重を落とす方法を模索しているなかで、

「食事回数を減らす」という方法をとることにした。

昼だけきちんと食べて、あとは炭酸水やコーヒーで腹を膨らませる。

初日だけウキウキしてしまい昼も抜いて25時間水分だけで過ごしたりもした。

 

外食や食材の買い出しがないので節約にもなるし、

料理や食事の時間がそのまま他の時間につかえるので部屋の掃除がはかどった。

気を紛らわすために本を読み始めたら、どこまでも集中力が持続するような気がした。

昼にたくさん食べるのであまり劇的に痩せはしないものの、体重は2キロ落ちた。

そしてなにより座っているときに腹がへこんだ感触がしてうれしかった。

 

――――10日間はなんとか耐えた。

しかし、がんばって帰ってきた金曜日の夜などに、

ピーナツを手のひらにのる分だけポリポリ齧りながらコーヒーを飲み

ひたすら空腹に耐えながらYouTubeで中華料理屋の店員がまかないを作る動画なんかを見ていると、

ふつふつと「わびしい」という感情がくっきりと浮き上がってきて仕方がない。

今まで献立を考えたり食べたいものを考えるのがなんとなく面倒なときもあって、

能動的に「食べない」という状況を作り出すことで、

そういう「食事のことを考える」から解放され、自由で心地よいとさえ思っていた。

 

調べると、食事をとることでなんとかと言う脳内物質が分泌され、

食材の如何にかかわらず、食事それ自体に抗不安作用や鎮静作用があるらしい。

なるほど、どうりで腹が減っている状態が長く続くとそわそわして活動的になるわけだ。

 

おかげで部屋は片付いて水回りもピカピカだけども、あまり我慢すれば情緒に悪い。

腹が減りすぎて「居酒屋で隣の人がテーブルにこぼした唐揚げを拾って食う」という、

なんとも情けない夢も見てしまった。

これからしばらくは、曜日を決めて夜も食べる日を作ることにする。

運動した日は曜日に限らずちゃんと食べよう。

 

夕食を取らずに浮いた時間、頭の中に文章が湧いてきたので書き出してみました。

文章を書くのが楽しくてもっと書きたいような気持ですが、今日はこれくらいで。