季節をテーマにした詩

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「カフェインの錠剤ちょうだい……」なんて
弱気な五月の第二週

気にかけてもらいたくなって
青い空 見上げちゃったりなんかしちゃったり

凡庸な人々に舌打ちをして
疑問符 浮かんで蹴飛ばして


ぽっかりと口を開けた空
意識をすっかり吸い込んで
円の接線の彼方にある
心象風景へ吐き出す



「インド人のべっぴんさんと歩きたい!」なんて
強気な八月の第一週

気にかけてあげたくなって
青い海 出掛けちゃったりなんかしちゃったり

煩雑な諸々 打ちやって
驚愕 浮かんで弾け飛ぶ


どっしりと待ち構える海
邪念をすっきり浄化して
円の中心の奥底にある
本能きらりと輝かす



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ベジタリアンの恋人の頬を食べたい春
若い緑にむせながら森を歩こう 君と

お腹が空いた

佐川一政さんとおしゃべりしたい夏
照りつける太陽の下でラジオ体操をしよう 君と

お腹が空いた

食欲の秋 ますます恋人が匂い立つ
フライパンで文庫本を炒めている 僕が

お腹が空いた

エド・ゲインのクリスマスパーティーにお呼ばれしたい冬
団地の隅っこ22棟の305号室
朝まで愛し合おう 君と 僕と

お腹いっぱい