アドリブ詩(ピンクフロイド『Time』を聞きながら)

絡みつけ 有象無象
ばいばいロック さよならパンク
不文律
欣求

「頭の中にしかない名作を忠実に掘り出すのが小説家の仕事」
偉大な芸術家のパロディーだよ

「君と恋人関係になったら、一緒に字幕が縦で表示されるようなオシャレな映画を見たいな」
「それってオシャレなの?」
「そんな気分する」

合掌
導師に続き三拍子で南無阿弥陀仏を唱える
焼香
両親を真似て浄土教の信徒になる

頭の中にしかない名作を掘り出すんだろ
面倒なんだろ
自分には才能がないってさ
ほら
大きな声で言ってみれば楽になるよ

努力 すれば どうにかなると 思えば 進めるだろ 

自分には才能なんかひとかけらもないってさ
言えよ
全く思って無くても
認めたくなくても
言えば楽になる
欣求

矢絣の着物の女の子が給仕を努めるカフェーにて文学論を戦わせる書生
「しかしね、どうにも君には信仰がなくてね」
「なくてはいけませんかな」
「そりゃいつまでも無神論だなんて言ってたらお笑い種です」
無宗教なだけです。 いや、宗教に関心がないだけです」
「原始的な畏怖の気持ちだけで十分だって言うんでしょう」
「わかってるじゃないか」
「でもね、戒律は必要だと思いますよ」
「善悪が時の価値観で大きく様変わりするんだから」
「縛り付けてもらわないとふうわり飛んでしまいそうで仕様が無い」
「君には才能がないからね、いつまでも母親に抱かれながら創作を続けなさい」

祖母の顔面の顔がずるりと剥けて、濁った液体が流れ出すイメージしか
その時頭になかった
暗喩が隠されていないただの言葉
それも詩だって言い張るのかい
自由なんて恐ろしい宗教はやめろ
縛られていたいだろ
右向けと言われて右を向くのが楽だろ
ほら、わかったらさっさと立ち上がれ

ばいばいロック さよならパンク
みんな死んだ
みんな元気
昭和が続く
歴史が終わった未来で生きている












花冷えの美しい五月の宵
僕と浜辺を歩いてください