青白い月の夜

十七の夜、高校に侵入した
教卓に君が腰掛け、長い黒髪さらりと赤い本を読んでいた

月明かりの差し込む白い闇の中、君の細い肩を抱いてキスをした
僕の苦い歯茎を舐めて君が汚れる
君はセーラー服、僕はジーンズ

守衛は、いない
烏も黒猫も守宮(やもり)もいない
靄(もや)の中に二人がいるだけ





昼下がりのカフェテラスでの戦争

男たちが舌を焼きながら黒い液体を喉に流し込む
女たちはふわりと甘い固体を齧る

黒い液体 熱い 苦い
コーヒー


男たちは固い理屈で批判しあい許しあった
女たちは脆い理想を並べて憎みあった

黒い液体 熱い 苦い
コーヒー