夜は幽霊になったのだ

大学のオリエンテーション合宿というのに参加しました。
一泊二日の静岡へのバス旅行です。

僕が所属している国文科の生徒でバスを三台借し切っての大移動、その際の席順とかは自由。
この自由という恐ろしい怪物はこういう時に牙をむきます。
教師が「この旅行で友達をたくさん作って大学生活に慣れましょう」と小学生の先生みたいなことを言うのを聞きながら僕は二人掛けの席に一人で座りました。 人見知りなめんな。

目的地までずっと本を読んだり携帯電話で「どこでもWiki」を見たりして暇つぶし。
目をつむってのYesの「危機」を聴くのもまた楽しかったです。
あとは泉ピン子似のバスガイドのおばさんの話が面白くてそれずっと聞いてました。




まぁしょっぱなから結論を言うと、この旅はゲロつまんなかったです。
楽しかった瞬間は二つ、バスの後ろの席の女の子とラーメンズの話をした時と消灯時間を過ぎてから一人でホテル内をぶらついた時ですね。
その他は僕がたくさん人がいて騒がしい空間が苦手なので、群れからはぐれた猿のようになっていました。
珍しく、さみしいとかそういうのはなかったような気がします。
というわけで、この旅日記は読んでもあんまり楽しくないと思います(言い訳)。



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バスの最初の目的地は若山牧水記念館。
歌人の牧水が住んでいた沼津の海岸線に建っている小さな記念館です。
写真の中心に来るべきものが端ッコにあるようですが、僕にはこの看板が気に入ったので中心に捉えてパチリ。

そこで三十分浜辺の風に当たったり作品を見たりして休憩。
次は沼津御用邸
昔なんかえらい人が住んでいた。
説明聞いたなかったのでかなりあやふやです。 
よく聞いてここに書いても誰も読まないし、漢字が多くて読もうという人の気力もそいじゃいますね。


とりあえず固まった、まぁ言い方悪いけどさえない四人組で椅子に座って弾まないトークで時間を潰す。
いくつかネタを言ったりしたけど伝わらなかったりスベったり。 たしかこの時点で帰りたくなったんです。




四時に伊東市内のホテルに到着。
二時間の自由時間をもらったので、さっきの四人組の中で出身地が僕と同じ大分県の男と市内を散策した。
本屋を探していたのですが、商店街の中の本屋は閉店していました。
リサイクルショップという、私物を集めてガレージで売ってます、みたいな店に突入したら意外と楽しめました。
立派な額縁に入ったマネという画家の複製画が千円で売られていて買いそうになりましたが、けっこう大きかったので断念。
あと渋いライターがあったけど「オイルがもう少ないのよね」と言われました。 それを二百円で売るな! 言いませんでしたが。




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市内はなかなか風情のある景観をしています。
杢太郎という医者やらなんやら多才なことをやっていた昔の人の記念館がありましたが、よく知らなかったのでスルー。
枝垂れ柳と川の流れを見つめて、すぐそばにある海岸から吹いてくる潮風と干物の匂いを肺に吸い込んでいました。






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この店もなかなかよかったです。
いかにもな門構えをしていて、なかには民芸品などが置いてました。





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このカップは買えた!
買えばよかったのに、躊躇している隙に購買欲がダウンして買いませんでした。
素敵なマグカップだったのに……。





中に日本人画家の絵画が売ってあり、その中に「夢二?」と書かれた版画絵がありました。
「これは夢二の作なんですか?」と質問。 なんとなく彼の絵に似てはいましたが、どことなく線が違うんじゃ……。
店主は「ああそれね、ここん所に夢二の印にそっくりのが押されてるからそうかなぁと思うんだよね」と言いました。
う~ん、言われればそうにも見える。
見る人が見れば一発なんでしょうが、店の中で失礼になるので撮影はしませんでした。
雪の中の女の人の絵でしたが、あまり魅力を感じませんでした。 夢二の書くモガ(モダンガール)が好きなので。


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小児科のガラスに描かれていたこの絵にはなんだか心ひかれるものがありました。






自由時間が終わりに近づいたので、コンビニに寄ってからホテルに帰還。
あ、週刊誌の表紙に見たことある絵が、ゆるめいつアニメ化されるんだ、へー。
ハッピーターンとインスタントコーヒーを買いました。
他の部屋の人と食べると思ったからです。

部屋に着くとなんか気持ち悪い顔の男と見るからにスポーツやってましたな二人とその友達、計四人がくつろいでいました。
気持ち悪い顔の男は髪を逆立てて側頭部を刈って模様をつけていて、しかもピアスをしてました。 もう 本当に 頼むから やめろ。
下ネタで盛り上っていて、その流れで僕の方に話しかけてきたので、少しだけ話をして仲良くなれるかとも思いましたが、明らかに住んでる世界が違いました。

スポーツ「どんな音楽聞くの?」
僕「八十年代の日本のロックが好き」
酷い顔「なになに、オタク系とか?」

なんかもう 本当に 頼むから お前の口から オタクとか いう単語を 聞かせないでくれ ギャグなのか?


そいつらは食事中もずっと女性器を絡めたダジャレで笑ってました。
おっそろしくつまらなく、僕は席一人分空けるように左隣の他の部屋の人たちのとこへ詰めて、一緒の部屋の人じゃない風を装いました。






そいつらが風呂に入りに行き、そのうちの誰かの携帯電話の充電器を借りて充電しながら本とか読んで過ごして、連中が帰ってきたら風呂に行きました。
なるべく長風呂にしました。




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露天風呂をウチの生徒が十人くらいで占拠して、一般の客が使えなくなっているのも構わずに「俺の高校さー、カッコだけワルみたいにしてさー、全然そんな度胸のないぃ、いわゆるカッコだけ不良(まんまじゃん)ってのが多くてさー」と至極どうでもいい会話で親睦を深めていました。 悲しくないのか。 
なんで風呂でこんな気分にならなきゃならんのだ。 また帰りたくなってましたが、写真の「腰をリズムカルにマッサージする道具」に救われました。
これ、僕の体をドラムに見立ててソウルフルに、泥臭く熱いビートを叩くんですよ。 腰がかゆくなりましたが、なんだかファンキーな気分を養えました。




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冷水を飲んでリフレッシュ。







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しかしエレベーター内の「モンペルックボウリング」という謎のサービスでまた心が乱れる。
なんでもんぺなんだよ! しかもちゃんとシューズ履いてるし! なんか不愉快だよ!
でも実は面白くてこういうの好きです(笑)
誰がやるんだよ。










部屋に戻ってからはずっと本を読み、話しかけられても無視してました。
なんか同行してた先輩の中の一人にメールアドレスを教えてもらったらしく、下品そうな顔をしたがたいのいいやつがしつこくメールしてました。明らかに迷惑だろ。

「部屋に来てくださいよ、と」自分が行けよ。
「えー、もうパジャマに着替えたから無理だってよー」断られてんじゃん。
「それでも構いませんよ、と」気持ち悪いなこいつ。


並行して小学校の頃の嫌いなやつに顔がそっくりで「祖国に帰れ」と言いたくなるやつが他の部屋の女友達に電話してました。
いかにも「俺ってさわやかだよ」みたいな虫唾の走るような声で会話してて、真剣に気持ち悪かったので部屋を抜けてふらふらさまよいました。
King Crimsonを聴きながら三十分くらいさまよい、部屋に戻ると無言のまま寝ました。



翌朝、バイキングで朝食をすました後に部屋の窓辺で煙草を吸っていると、ええと、あの、まぁいいや、誰かが話しかけてきました。
「何吸ってんの?」
マルボロ
「へー、俺マイセン」
「……(ぷかー)」
「一本ちょうだい」
「火、ある?(ぽい)」
「あるある」

この後美術館ですれ違った時とサービスエリアで昼食をとる時、こいつは僕にマルボロというあだ名をつけてました。 これが一番腹たつ。 名前がわからないなら聞けばいいのに。






美術館で見た河鍋暁斎の絵が面白かったです。
他にも能の舞台や満開の桜や黄金の茶室なども綺麗でした(おざなりw)

ぞろぞろと学生が巡るので落ちつかなったので二周目に突入し、その時はゆっくりと美術品を見られてよかったです。




帰りのバスの中で本を読んだり寝たりして漫然と時間を潰し、そして大学に着いたらすぐに帰宅しました。

これが大まかな二日間のあらすじです。
文章からにじむような不快感、つまらなさ。やるせなさ等々を感じませんか?
長くなってすいませんでした(汗)