自意識過剰な女の子

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午後に目を覚まして、昨夜の残りのカツ丼を食べて胃にずしんと来たけど食後の煙草がおいしかったのでオールオッケー、ほなまた寝ましょうか。
とここで、これでは駄目な大人になる、と思ったので、ちょっと期日が迫っているレポートの資料集めでもしてみようかな、とパソコンの前に座りました。
するともう駄目ですね、ブログを見たり、Web漫画読んだり、ニュースサイト見たり、気付いたら午後四時あたり。
焦りながら、ちょいちょい盆踊りについて検索して得られた情報をメモ帳にコピペしました。
あとでこれをプリントアウトして、必要な情報をまとめて、そんで自分の文章で書けばOKじゃなかろうか、夢が広がるぜ。

「月が~~出たでぇた~月が~~~出た~~~あぁらヨイヨイ!」
子供の頃から耳にしていた炭坑節が、炭鉱夫たちが慰みに口ずさんでいた歌だったという事実があきらかになり、これからは平凡な盆踊りが一気にストライキの様相を帯びて僕の目に映りそうです。





マックに行って、昨日借りてきた本谷有希子の「乱暴と待機」を30ページほど読む。じわじわと怖い。
家に帰って、二時間ほどで同じく本谷さんの「ほんたにちゃん」を読む。
最初、エッセイ集みたいな感じかと思っていたのですが、途中から小説だと気づきました。
途中で気付いたというのは、普通に本人のことを淡々と語っているのかと思うくらいにリアルだったからです。描写が。
僕が間抜けだったという線もありますが。




「ほんたにちゃん」は自意識過剰な専門学校生。
自分で設定したミステリアスなキャラを演じて生きているのですが、本心は著名な人と知り合って世界を変えようとする小市民。
そんな愛すべき女の子が、大物イラストレーターに版画のモデルを頼まれて、彼の家(めっちゃ散らかったアパートの一室。彼女によると、これが理想のアーティスト像らしい)に行って、服を脱ぐように要求されるシーンが良かったです。

今まで、散々冷たく「……はぁ」とか「……別に」とか相槌を売ってキャラを作っていたのに、「脱いで」の一言でひどく動揺した彼女(処女)はトイレに籠ったあげく、「……生理なので」と、自らが最も屈辱とする、いわゆる「平凡な逃げ道」を提示してしまいます。
たしかに、処女の女性が一人暮らしの男の家に行って脱いでと言われたら、そんな反応になるでしょう。
しかし、彼女は「モデルやらない?」という依頼を、がっつくようでみっともないからと、キャラを守るための理由で一度流してしまっているのですが、後で、もらえる報酬の額のことを考えて、もう一度大物アーティストに連絡をとって「……別に、暇だったので」と言って(消極的ではありますが、心の中では「人生を変える転機」くらいに燃えています)依頼を受けます。
そんな腹を括ったであろう彼女が、ヌードを平凡な理由で拒絶してしまう、というのが、読んでいてなんとも悔しい思いがしました。
主人公が世間に負けた! という感覚がビシッとしました。

その後、珍妙な服を着せられ、珍妙なポーズを取らされて、それで顔だけクールを装ってモデルを努めました。

しかし、彼女はその後ひどく調子に乗って大物アーティストを怒らせてしまい、めちゃくちゃ凹んでしまって、しかも実家に帰って農業を継ぐように電話で母親に説得されたりします。
笑ってしまいたくなるくらい、駄目駄目です。
そんな彼女に活路はあるのか! なさそう……。
という小説でした。


彼女の年齢が、ちょうど19から始まるので、なんだか同い年ということで妙なシンパシーを感じながら読むことができました。





夜、近所のラーメン屋が半額セールをやっていました。
列にならんで、そこそこおいしいラーメンを廉価で食べました。
ほんたにちゃんなら、知人に見られたら嫌だからという理由で絶対に並ばないだろうな、と考えながら並んでいました。
僕は別に並びます。
ラーメンのために列に並んだりすることも厭(いと)いません。