熱を発する生き物

１
顔に触れる　手が触れる　あたたかさを聞く
簡単には　測れない　複雑なぬくもり
平熱が混ざり合うのにそれより熱く

２
ボクのおなかはあったかいぞ
鳥やら犬やら　おなかはあったかいぞ
ボクのおなかでしもやけが治るぞ
冷たい指がほぐれてよくなるぞ

ボクは背中もあったかいぞ
背ぼねの電ねつ線から火をふくぞ
友だちやお母さんの耳をあっためるぞ
冬はゆげが出るほどあったかいぞ

ボクは手のひらだってあったかいぞ
ボクがほっぺたにさわるとみんなよろこぶぞ
好きなあの娘には言えないけれど
僕と手を繋ぎませんか

３
いくら喋っても　冬は寒いだけ
ラーメン食べたら　内側からぬくまる
パンとか食べても　内側からぬくまる
いくら喋っても冬は寒いだけ
ポケットの中　手のひら　小さくつららが

そんなに走っても　汗が引いたら
どっと冷え込むよ　ぞっと風邪ひくよ
熱を奪われ　北風にさらわれ
そんなに走っても汗が引いたら
ズックの中　足の指　霜柱がおりた

だからと言って　喋るし　走るし　寒いし
だからと言って　文句言わない　耐え抜く
家ん中で　とけた氷がびしゃっとなって　コンセントから感電
家ん中で　とけた氷がびしゃっとなって　コンセントから感電　なのだ

４
エスキモーは寒さに――強い強いぞ
エスキモーは寒さに――耐える耐えるぞ
エスキモーの友達　道産子（どさんこ）とは仲良し
エスキモーの友達　「ニッポンの冬はぬるいネ」

違うな～～～～～～～～～～　　　　やっぱ違うな～～～～～～～～～～
強いな～～～～～～～～～～　　　　やっぱ強いな～～～～～～～～～～

エスキモーは寒さに――強い強いぞ
エスキモーは寒さに――耐える耐えるぞ
エスキモーの友達　カナダあたりも平気さ
エスキモーの友達　「トナカイ角するどいネ」

違うな～～～～～～～～～～　　　　やっぱ違うな～～～～～～～～～～
強いな～～～～～～～～～～　　　　やっぱ強いな～～～～～～～～～～