階段がなく 人の登れぬ塔がある
壁面を登るのは 天道虫と蝸牛
塔に色を足していく 塔に色を足していく


風が吹く日もあったろう
雨が降る日もあったろう
流され落ちず 登っていく
壁を埋めよと増えていく


生命の怒涛が空を目指す
建築したのはヒトなのに
壁面を登るのは天道虫と蝸牛
建築したのはヒトなのに
色彩の喜びに大気は震え
建築したのはヒトなのに
静(し)ーんと立つのはだんだらの
建築したのはヒトなのに
人を忘れた塔がある


2011/12/14