三つの詩

家畜の幸福

次に人間に生まれたら
世間の目を気にして
親の言うことをよく聞いて
お勉強をたくさんして
人に自慢できる仕事に就いて
自分でたくさんお金を稼いで
綺麗で優しいお嫁さんをもらって
健康で明るい子供を二人くらい授かって
そして そして
そしていっぱいっぱい幸せをつかみたいです

幸せが舞い降りてきます
お金と仕事と女性と家庭とを得ることができたのなら
幸せが

幸せが舞い降りてきます
月並みな毎日が送れる日常に生きられたのなら
幸せが




冬虫夏草少女は優しくて
冬虫夏草少女は可愛くて
けれども頭にキノコが生えてて
脳髄深く菌糸が根付いてる

冬虫夏草少女はおしとやかで
冬虫夏草少女は気がきいてて
けれども菌に支配されてて
脳味噌ぎっしり胞子が詰まってる

あー可哀想だけど仕方がない
あーたぱたぱ胞子は町を侵すから
あー冬虫夏草に取り付かれた少女は
あー木に縛り付けてキノコに食わせよう
あー生贄の少女は静かに「さよなら」



三本の棒

僕の最終兵器は

先が黒くて
それを白い紙に擦(なす)り付ける

先が熱くて
しばらく煙を吐き出す

先が柔らかくて
どんな時も役に立たない

どんな男も一度は触れるこれらを
こんな風に捉えている僕の脳味噌は
捨て駒の歩兵

拷問しても何にも得られない