赤い詩集

赤い詩集の頁繰る指止めたくて
止めたくて僕は、(なんだっけ)

道路標識に空が反射して灰色
灰色だから僕は、(なんだっけ)


冬虫夏草が好きなんだ
ロックンロールが好きなんだ
無意識に体が揺れるね
無為式の世界が壊れるね

友達のダサいバンドは少女を殺し続けるし、僕は過去を殺して雑然とした死骸の歌を聞き続ける

狂った振りは止めなよ少年少女
殺戮が溢れる街の片隅で君は泣くことしかできないのにグロテスク趣味に耽溺する姿は愚かさ

言葉の力を信じない作家と愛を信じない処女
見せかけの情熱がそっくり